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「言葉の基礎作り(語りかけ保育)」




 モンテッソーリ教育では胎内期を含む0-3歳の頃が「話し言葉の敏感期」であると定義されていて、まだ言葉の離さない赤ちゃんでも、無意識のうちに驚くべきスピードで言葉を吸収しています。


“赤ちゃんの言葉の教育には“絵本の読み聞かせが良い”


 これは疑いようのない事実だと思います。

ただ、間違ってはいないけれど読み聞かせのその時、赤ちゃんがそれに興味を示して目線を向けていなかったら、言葉の吸収率はぐっと低くなってしまいます。


 お仕事で子育て中のママと話していると、「絵本を最後まで聞いてくれないんです」と相談をいただくことがあります。それもそのはず、短いストーリーを理解できるようになるのは大体2歳以降と言われています。0-1歳のうちは、ページの先頭から順番に読んでいかなくても、好き放題めくったページを開いて読んでもOK。書いてある文章にとらわれすぎず、出てきた物の単語や音そのものを楽しむだけでも十分言葉の教育になっていると言えます。


 そしてHOME SWEET HOMEで言葉の教育で取り入れているのが、今、目の前の子どもが興味を持って見ているものや状況を言語化して伝えるということ。


 たとえモンテッソーリのおしごとに集中して取り組んでいても、その時空の方から飛行機が飛んでいる音が聞こえてきて子どもがそっちに気を取られたら、ゆっくりはっきり「ひこうきが、とんでいるね」と伝えます。

そうすると、子どもは数秒空をみて今飛行機が飛んでいる現象と言葉を結びつけたあと、自らまたおしごとに戻ることができるんですよ。もし、保育者が子どもが空を見上げたことについて何も明言せず、すぐにおしごとに戻ることを促したら、かえって空を見ることに、より興味が移ってしまい集中が途切れてしまうことがあります。

また、おしごとがひととおり終わった後に、「あの時飛んでいたのはね…」と説明されてもその時にはもう、さっき空でみた現象を思い出すことはできないんです。

飛行機の音が聞こえて「なんだ!?」と疑問が沸いた瞬間に何であるか言葉で聞くことで、好奇心が満たされるし言葉をしっかり覚えることができるんです。


 そして、言葉の中でも名詞という存在しているものであれば絵本や実物でも教えやすいのですが、形容詞や動詞、助詞などは、その状態をリアルで見ている時が一番理解しやすいです。水が流れている様子を静止画で見ても赤ちゃんには「流れる」という意味は理解できません。お風呂で蛇口をひねって水が出たときに「水が流れているね」、川を見て「川の水が流れているね」などと聞くことでみてきた流れる場面を積み重ねて赤ちゃんなりに「ながれるってこういうことだな」と解釈を深めていきます。


●言葉の持つ力

 みんな同じように順を追って発達していく身体と違い、言葉の発達についてはかなり個人差の大きい部分だと言われています。1歳で意味のある単語をたくさん話す子もいれば、3歳になるまでほとんど言葉を発しない子もいます。それって何故でしょうか。

もちろん生まれつき持っていた気質によるという場合もゼロではありません。ですが、私は環境による効果が大きいと思っています。

 一般的に上にごきょうだいがいる下の子は言葉が早いと言われるのも、それだけ家庭内で会話が多いことの証拠です。

0歳のうちにたくさんの言葉を吸収し、「話すことによるコミュニケーションを楽しいと思う気持ち」を育ててあげることができれば、自ずとお話上手な子になっていきます。


 それでは言語発達が早いこと、お話上手なことのメリットは一体なんでしょうか。

言葉が遅くても、小学生くらいになればみんな同じように話しているし、焦らなくてもそのうち話せるようになるでしょ、という考えも理解はできます。確かに、言葉が遅いことがその後の人生で日常生活を送れないほどの困難に直結することはありません。


 一つ目のメリットとしてはコミュニケーション力があげられます。

 これから保育園や幼稚園、学校生活など社会の中で過ごす時間が増えていきます。お友だちや先生との関わりの中で、言葉による理解ができるとうまく人と付き合っていくことができるでしょう。

AIやロボットが進化している今、社会に求められているスキルはコミュニケーション力が多くの比重を占めています。


 二つ目のメリットとしてイヤイヤ期を乗り越えるのに役に立つ可能性が高いことがあると考えています。

2歳前後から自我や知性が芽生え、なんでも自分でやりたい!こうでなくちゃだめ!といういわゆるイヤイヤ期が始まります。「お腹が空いた(何か食べたい)」とか「眠たい」という時、不快な気持ちをうまく説明できずにいて泣きわめく、、、あるあるですね。こういうとき、大人がくみ取って上げられれば落ち着く場合もありますがもし親にも理解できないようなことであれば、それが癇癪につながってしまうことになります。本人は不快な気持ちを「これは不快な気持ちなんだ」と理解することさえできていないんです。

 自分の気持ちを身体で理解し、それを言葉で表現し、大人が理解してくれて対応してくれたら、大きな癇癪の機会を減らせるのではないでしょうか。


 そして注目すべき三つ目のメリットは、 “言語発達と知的能力は密接に関係している”ということ。3歳時点の言語能力が高いと、例外なくそれ以降のIQが高くなる“ということが長年の研究結果で分かっています。

「言葉」と聞くと国語力が高いとイメージしがちですが、数学だって物理だってスポーツだって学びの手段は言葉です。1+1=2という数式は解けても、文章問題は読解力が求められます。スポーツであればコーチの指導する意図を正しく理解できなければ思うように上達はしないでしょう。

語彙をたくさん知っていればそれだけ表現力が豊かになります。

相手の話や書かれていることを正しく理解できると読解力が高められます。

そして人間は知っている言葉で思考します。思考の内容で人格が作り上げられていきます。たくさんの言葉を知っていること、ポジティブな言葉を身につけることは、これから幼児期、学童期、思春期、青年期と成長するにあたって、素晴らしい人格の形成につながっていくことでしょう。

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